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コラム

スクラバーとは?排ガス処理装置の仕組み・種類・選び方を徹底解説

スクラバーとは、研究施設や工場などで発生する有害ガスや臭気を除去する「排ガス処理装置」です。
建物の屋上で、写真のような設備が並んでいるのを見かけたことはありませんか?
そのような設備の一部は「スクラバー」と呼ばれる排ガス処理装置かもしれません。作業環境の安全確保や法令遵守のため、多くの現場で導入されています。

ただ、いざスクラバーについて調べ始めると、湿式・乾式の違いや、どの種類を選べばよいのか、といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、スクラバーをはじめとする排ガス処理装置の仕組みから、種類・選び方・運用のポイントまでを、現場目線でわかりやすく解説していきます。

スクラバーとは?有害ガスや悪臭を除去する排ガス処理装置

スクラバーとは、工場や化学実験室、廃棄物処理施設などから排出される有害なガスや悪臭成分を大気中に放出される前に除去し、空気をクリーンにするための「排ガス処理装置」を指します。排ガスを処理する装置全体を指して「スクラバー」と呼ぶこともありますが、厳密には湿式方式を指すケースが一般的です。
本記事では以降、より包括的な意味として「排ガス処理装置」という用語を用いて解説していきます。
(スクラバーという言葉は、床洗浄機などを指す場合もありますが、この記事では、排ガスを浄化する装置としてのスクラバーについて詳しく解説していきます。)

排ガス処理装置が必要とされる目的は、大きく分けて三つあります。

  • 作業者の安全確保→ 有害ガスや有毒物質から従業員を守る。
  • 法令・排出基準への対応→ 大気汚染防止法や悪臭防止法といった環境規制によって排出基準が厳しく定められており、違反した場合には罰則が科せられる可能性がある。
  • 大気汚染・臭気対策→ 発生する悪臭や有害物質は、周辺地域の生活環境に影響を与え、苦情の原因となることも。

有害ガスを適切に処理することが、安全な作業環境の維持や周辺環境への配慮につながります。

排ガス処理装置の仕組み|洗浄液でガスを浄化する「湿式」と吸着剤を使う「乾式」

排ガス処理装置は、その浄化の仕組みによって大きく「湿式」と「乾式」の2種類に分けられます。
それぞれ異なる原理で排ガス中の有害物質を取り除くため、得意とするガスの種類や導入後の運用管理も大きく異なります。

▸ 湿式排ガス処理装置(一般に「スクラバー」と呼ばれる方式)

水や薬液といった液体を使い、排ガスを洗浄して有害物質を液体に溶かし込んだり、化学反応で無害化したりする方式です。

特徴
・酸性ガス、アルカリ性ガスに強い
・粉じんやミスト処理にも対応可能
・洗浄液の管理が必要

仕組み
排ガスを洗浄液と接触させることで有害成分を取り除きます。
まず、排出された有害ガスが、装置内部へと吸い込まれます。内部には充填材が詰められており、上部から散布される洗浄液がその表面を伝って流れ落ちます。排ガスはこの洗浄液の流れに逆らうように下から上へと通過するため、ガスと洗浄液が効率的かつ広範囲で接触するのです。
ガスと洗浄液が接触する過程で、ガス中の有害成分は物理的に吸収されるか、洗浄液に含まれる薬品と化学反応を起こして中和され除去されます。この化学反応を通じて、有害ガスは無害な物質へと変化し、浄化されたクリーンな空気として装置外へ排出されます。

運用時の注意点
湿式排ガス処理装置は、洗浄液のpH(酸性度やアルカリ度)を常に適切な状態に保つことが不可欠で、pHが目標値から外れるとガスの吸収効率低下や装置自体の腐食リスクがあります。

▸ 乾式排ガス処理装置

活性炭などの吸着剤を使って有害成分を除去する方式です。ガス中の臭気成分やVOC(有機溶剤)を吸着して処理します。

特徴
・VOC・臭気対策に適している
・排水が発生しない
・吸着剤の定期交換が必要

仕組み
内部に充填された活性炭などの「吸着剤」に排ガスを通すことで、有害成分を除去します。湿式排ガス処理装置のように液体を用いることなく、固体の吸着剤が直接ガス中の汚染物質を捕らえるのが大きな特徴です。
活性炭の吸着原理は、その特異な多孔質構造にあります。無数の微細な孔(細孔)を持つ活性炭は、1グラムあたり数百平方メートルにも及ぶ広大な表面積を有します。排ガスが活性炭層を通過する際、ガス中の臭気成分や有機溶剤(VOC)分子が細孔の壁面に物理的に吸着されます。これは、スポンジが有害ガスを内部に取り込むイメージです。

運用時の注意点
活性炭の吸着能力には限界があり、吸着能力は徐々に低下します。能力が飽和すると、有害ガスが処理されずに大気中に漏れ出す「破過」という現象が起こるリスクがあります。そのため、吸着剤は破過前に定期的な交換が必須です。また、使用済みの吸着剤は有害物質を含有するため、専門の産業廃棄物処理業者による適切な処理が義務付けられています。

【比較表】湿式・乾式排ガス処理装置の違い

表形式で、2種類の形式を比較してみましょう。

排ガス処理装置の主な種類と特徴

排ガス処理装置は、「湿式」と「乾式」という大きな分類だけでなく、ガスの通し方や装置の構造によって、さらに細かな種類に分けることができます。

① 湿式:充填塔式(湿式で最も一般的)
内部の充填材に洗浄液を流し、排ガスと接触させて処理する代表的な湿式排ガス処理装置です。
広い気液接触面積により、酸性ガス(塩酸、硫酸など)やアルカリ性ガス(アンモニアなど)の吸収・中和除去に非常に高い効率を発揮します。

②湿式:ベンチュリースクラバー
装置内の「ベンチュリー」と呼ばれる絞り部で排ガスを高速化し、その中に洗浄液を微細な霧状に噴霧するタイプです。この高速気流中で排ガスと洗浄液の液滴が激しく衝突・混合することで、ガス状物質の吸収効率を高めるだけでなく、特に微細な粉じんやミストの捕集に高い性能を発揮します。ガスと粉じんが同時に発生する環境に適しています。

③湿式:サイクロンスクラバー
サイクロンによる旋回分離の原理を利用します。排ガスに強い旋回運動を与え、遠心力で粉じんやミスト粒子を装置内壁に衝突させます。壁面を伝う洗浄液がこれらを捕集し、除去します。構造が比較的シンプルで、比較的大きな粒子径の粉じんやミストの除去に効果的であり、圧力損失が低い場合があるのが特徴です。

④乾式:活性炭吸着塔(乾式で最も一般的)
物理吸着で多種多様な有機溶剤(VOC)や低濃度悪臭成分を除去します。水に溶けにくいガスや湿式で処理が難しいガス種に特に効果的で、印刷・塗装工場での有機溶剤蒸気除去、研究室の排気処理などに活用されます。

排ガス処理装置の選び方|導入前に確認すべき3つのポイント

POINT 1: 処理対象の排ガスの特性を把握する

まず確認したいのが、処理対象のガスです。

  • ガスの種類…酸性、アルカリ性、VOC(有機溶剤)なのか等
  • 濃度…濃度が高いほど処理能力の高い装置や、多段式の処理が必要になる場合がある
  • 風量…排ガス処理装置の処理能力やサイズに直結
  • 温度・湿度…高温のガスや高湿度のガスは、装置の材質選定や冷却機構の有無に影響する
  • 粉じんの有無…排ガス処理装置の種類により粉じんの得手不得手が分かれる

POINT 2: 設置環境とスペースを確認する

実際に設置する場所の物理的な条件も非常に重要です。

  • 設置スペース…幅や奥行き、高さをしっかりと測る
  • 電源・水・配管…ユーティリティの有無と容量も確認。特に湿式スクラバーでは、給排水能力と経路の事前確認が必要。
  • メンテナンススペース…点検、清掃、部品交換に必要なスペースがあるか。設置後の長期的な安定稼働のために。

POINT 3: 関連法規と排出基準を確認する

設置・運用には「大気汚染防止法」「悪臭防止法」が適用され、湿式排ガス処理装置の処理水は「水質汚濁防止法」「下水道法」の排出基準を満たす必要があります。これらの法律には、特定有害物質や悪臭物質ごとの排出濃度上限が定められており、厳守が求められます。
特に、国の基準に加え、自治体が独自の「上乗せ条例」でより厳しい基準を設ける場合があるため、事業所が立地する自治体の規制内容を必ず確認しましょう。法令遵守を確実にするために、選定時には、自社の排ガス情報と立地自治体の法規制をメーカーや専門業者に共有し、提案される装置が求める排出基準をクリアできる性能を持つか、十分に確認しておきましょう。

導入後に重要なメンテナンス

排ガス処理装置は、導入後の維持管理によって性能が大きく左右されます。
安定稼働を維持し、トラブルを未然に防ぐために、日々の運用で特に重要となるポイントについて詳しく解説していきます。

日常点検と定期点検

点検を適切に実施することで、装置の異常の早期発見と、突発的な故障による操業停止のリスクを大幅に減らすことができます。

日常点検では…
運転中の異音や振動、異臭がないかを確認したり、圧力計やpH計、液面計などの計器類の数値が正常範囲内にあるかをチェックしたりします。
定期点検では…
専門知識を持つメンテナンス業者によって行われるより専門的な点検です。ファンやポンプ、モーターの動作状況、ベアリングの摩耗、装置内部の腐食や洗浄液経路の汚れ具合、充填材の劣化状況などを確認します。
これらの点検結果は必ず記録簿として残し、「設備の健康状態を見える化」することが重要です。これにより、性能低下の兆候を客観的に把握し、計画的な部品交換や修理を行うことで、突然の故障を防ぎ、長期的な安定稼働を実現できます。

消耗品(充填材・活性炭)の交換

湿式排ガス処理装置は「充填材」、乾式排ガス処理装置は「活性炭」が主な消耗品です。
湿式排ガス処理装置の「充填材」は、排ガスと洗浄液の接触を促し処理効率を高めます。長期使用で目詰まりや劣化が進むと性能が低下するため、定期洗浄で改善しない場合は交換が必要です。 また、湿式では薬液管理も重要になります。
乾式排ガス処理装置の「活性炭」は、有害ガスを吸着しますが、吸着能力には限界があり、使用と共に処理性能が低下するため、定期的な交換が不可欠です。

循環水・排水の管理と処理

湿式排ガス処理装置では、循環水と排水の適切な管理が、装置の性能維持と機器の保護に不可欠です。
まず、排ガスの中和には適切なpH範囲が必要で、pHが極端に変動すると、装置本体や配管の劣化を進めることがあります。pH計で常時監視し、必要に応じて薬剤を補充してpHを安定させましょう。
そして、排ガス処理装置から出る排水には、排ガス中の有害物質が含まれるため、そのまま排出できません。自社で処理設備がある場合は適切に処理し、難しい場合は専門業者に委託しましょう。

↑ 濁ったスクラバータンク内の水の様子

目詰まりや性能低下を防ぐ清掃

定期的な装置内部の清掃が必要です。充填材やノズル、配管などを高圧洗浄したり、汚れがひどい場合は充填材を個別に洗浄したり、薬品でスケールを溶かすこともあります。清掃作業は、装置構造の理解と適切な保護具が必要なため、専門業者に依頼することが推奨されます。

まとめ|自社に最適な排ガス処理装置を選定し、安全な作業環境に!

スクラバーをはじめとする排ガス処理装置は、排ガス処理において不可欠な設備であり、選定で重要なのは以下の3点です。
① 排ガスの特性
② 設置条件
③ 法規制対応
また、導入後も安定した性能を維持するためには、日常的な点検や清掃、消耗品の交換、そして洗浄水の適切な管理といった計画的なメンテナンスが欠かせません。
もし、
・メンテナンス方法に不安がある
・スクラバー、排ガス処理装置以外にも、専門業者に話を聞きたい
といった場合は、ぜひ弊社ダルトンメンテナンスまで、お気軽にご相談ください。
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