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コラム

ドラフトチャンバーとは?仕組みや選び方を解説!

ドラフトチャンバーとは、化学実験や工場作業で発生する有害ガスや蒸気を外部へ排気し、作業者を守るための「局所排気装置」の一種です。
この記事では、ドラフトチャンバーについてわかりやすく解説します。

ドラフトチャンバーとは?作業者の安全と健康を守る必須設備

ドラフトチャンバーとは、作業中に発生する有害ガス・蒸気・粉塵を外部へ排気し、作業者へのばく露を防ぐための局所排気装置の一種です。
例えば、有機溶剤を使用する際に発生する蒸気、酸やアルカリを扱う際の腐食性ガスなどは、吸入によって健康被害を引き起こす可能性があります。ドラフトチャンバーは、こうした有害物質を作業空間に拡散させず排気することで、安全な作業環境を維持します。現場で働く人々の健康と安全を守るための、まさに生命線ともいえる重要な設備なのです。
また、室内への有害物質の拡散を防ぐことで、設備や製品への影響、作業環境全体の汚染防止にもつながります。

知っておくべき関連法規と事業者の義務

ドラフトチャンバーの設置と管理は、さまざまな法令によって義務付けられています。特に重要なのが、労働安全衛生法、特定化学物質障害予防規則、そして有機溶剤中毒予防規則です。これらの法令は、有害な化学物質を取り扱う事業所に対して、局所排気装置の設置や適切な運用を義務付けており、その中にはドラフトチャンバーも含まれます。
事業者にとって特に認識しておくべき義務として、ドラフトチャンバーの「年1回の定期自主検査」の実施が挙げられます。この検査では、ドラフトチャンバーが適切に機能しているか、特に定められた制御風速が維持されているかなどを確認します。
点検については、こちらの記事で詳しく解説しています!
【コラム】局所排気装置のセルフチェック|計測器なしで出来る日常点検のコツ

【図解】ドラフトチャンバーの仕組みと原理を簡単に解説!

基本原理はシンプルで、装置内部を排気ファンで強制的に排気し、内部を陰圧(周囲より圧力が低い状態)に保つことで、有害物質が外へ漏れ出すのを防いでいます。
ここでは、ドラフトチャンバーがどのように作業者を守っているのか、その仕組みを見ていきましょう。

“見えない風”でガスを吸い込む

ドラフトチャンバーの安全性を支えているのが、陰圧によって生まれる「見えない風」です。
装置内部が陰圧になることで、サッシの開口部から内部へ向かって一定の空気の流れが発生し、有害なガスや粉塵が装置外へ逆流するのを防ぎます。この空気の流れがカーテンのように働き、有害物質を装置内部に封じ込めます。
この流入風速は、法令で定められた「制御風速」(有機則の場合0.4m/sec)を維持することが重要です。速度が不足すると、有害物質が漏れ出すリスクが高まります。
また、内部の「バッフル板」は空気の流れを均一にし、有害物質を効率よく排気口へ導く役割を担っています。こうした気流設計によって、ドラフトチャンバーの安全性が保たれています。

排気ガスを浄化して排出する仕組み(スクラバー・フィルター)

ドラフトチャンバーが吸引した有害物質は、その物質の種類と量に応じて適切な処理が施され、無害化または低害化されてから外部に排出されます。
排気処理装置にはいくつかの種類があり、例えば酸やアルカリ性のガスを扱う場合は、「スクラバー」と呼ばれる排ガス処理装置が用いられます。これは、ガスを洗浄液と接触させることで化学反応を起こさせ、有害成分を中和・吸収して除去する仕組みです。
さらに、有機溶剤の蒸気や悪臭成分、特定のガス状物質などを除去するには、「活性炭」が利用されます。活性炭の微細な孔に有害物質を吸着させることで、排気を浄化します。
排ガス処理放置については、こちらの記事で解説しています!
【コラム】スクラバーとは?排ガス処理装置の仕組み・種類・選び方を徹底解説

ドラフトチャンバーの基本的な使い方と安全上の注意点

性能を最大限に引き出し、作業者の安全を確実に守るために、ドラフトチャンバーの正しい使い方をチェックしましょう。

安全に使うための基本操作と注意点

作業時は、以下のポイントを徹底しましょう。

① 作業前に排気ファンを確認する
ファン停止状態では、有害物質が室内へ漏れる恐れがあります。
② サッシは必要最小限の高さにする
サッシを大きく開けすぎると気流が乱れ、封じ込め性能が低下します。
③ 発生源は作業面の奥に置く
目安として開口部から15cm以上奥で作業すると、排気効率が安定します。
④ 気流を妨げない
不要な物を置いたり、機器で排気経路を塞いだりすると性能低下につながります。
⑤ 外乱気流に注意する
急な動作や人の往来、空調の風は前面風速を乱す原因になります。
作業終了後は内部を清掃し、残留物がないことを確認してから停止するようにしましょう。

メンテナンスの重要性

ドラフトチャンバーは、継続的な点検とメンテナンスによって性能が維持されます。フィルターの目詰まりや排気ファン性能の低下は、排気能力の低下や有害物質漏洩の原因になります。
そのため、以下のようなメンテナンスが重要です。
・制御風速の確認
・フィルター交換
・排気ファン点検
・装置内部の清掃
適切なメンテナンスは、突発的な故障を防ぎ、長期的に見てランニングコストの安定化にも貢献します。安全な作業環境を維持するためにも、計画的なメンテナンスを行いましょう。
📨メンテナンスについてのお問合せはこちらから!

【比較】クリーンベンチや安全キャビネットとの違いは?

ドラフトチャンバーと混同されやすい装置に、「クリーンベンチ」や「安全キャビネット(バイオハザード対策用キャビネット)」があります。
見た目は似ていますが、何を守る装置なのかが大きく異なります。誤った装置選定は、健康被害や試料汚染につながる可能性もあるため、違いを理解しておくことがとても重要です。

保護する対象と目的で使い分ける

まずは作業内容で「何を」保護したいのかを明確にしておきましょう。
ドラフトチャンバーは「作業者」を保護することを最優先としています。仕組みで前述したとおり、サッシ開口部から空気を吸い込み、有害物質を装置内部へ封じ込めることで、ガスや蒸気、粉塵の人体への吸入を防ぎます。
一方、クリーンベンチの主な目的は「試料・製品」を保護することです。清浄な空気を作業空間に吹き付けることで、外部からの塵や微生物の混入を防ぎ、クリーンな環境で作業を行うことを可能にします。作業空間は常に陽圧に保たれているため、外部の汚染物質が侵入しにくい構造です。試料の保護に適していますが、作業者保護を目的としていないため、有害ガスや有機溶剤の取り扱いには適していません。
そして、安全キャビネット(バイオハザード対策用キャビネット)は、「作業者、試料・製品、環境」のすべてを保護することを目的としています。内部では、清浄な空気が試料に供給されることで試料の汚染を防ぎつつ、同時に有害な微生物や物質が外部に漏れ出さないよう排気を浄化する仕組みを持っています。例えば、ウイルスや細菌などの病原体を扱う研究施設で、作業者の感染防止と試料の無菌状態保持を両立するために用いられます。
それぞれの保護対象と空気の流れを理解し、安全性確保と作業品質維持のために最適な設備を選びましょう。

【目的別】ドラフトチャンバーの種類と特徴

ドラフトチャンバーにはさまざまな種類があり、排気制御方式・形状・材質によって特徴が異なります。
ここでは、選定時に知っておきたい代表的な違いを紹介します。

排気風量の制御方式による分類(CAV・VAV方式など)

ドラフトチャンバーの排気制御方式は、大きくCAV方式とVAV方式に分かれます。

CAV方式(Constant Air Volume)
CAV方式は、サッシの開閉に関係なく、常に一定風量で排気する方式です。
構造が比較的シンプルで導入コストを抑えやすい一方、サッシを閉じていても排気量が変わらないため、消費エネルギーが大きくなる傾向があります。
導入コスト重視の現場で採用されることが多い方式です。

VAV方式(Variable Air Volume)
VAV方式は、サッシ開度に応じて排気量を自動制御する方式です。
安全な制御風速を維持しながら必要な分だけ排気するため、エネルギー消費を抑えられるのが大きな特徴です。
初期費用は高くなりますが、長期的にはランニングコスト削減につながるため、省エネや運用効率を重視する施設で採用が増えています。

初期投資と運用コストのバランス、そして使用頻度や省エネへの取り組み方針に応じて、最適な方式を選ぶことが大切です。

機器の形状による分類(床置き・卓上・ウォークイン)

ドラフトチャンバーの代表的な形状として、「床置きタイプ」「卓上タイプ」「ウォークインタイプ」の3タイプがあります。
床置きタイプ
実験台と一体になっていることが多く、多くの研究室や工場で最も一般的に使用されている標準的な形状です。安定した作業スペースを提供し、幅広い用途に対応できる汎用性が特徴です。
卓上タイプ
既存の実験台や作業台の上に設置できるコンパクトな形状です。小規模な作業を行う場合や、設置スペースが限られている環境に適しています。手軽に導入できるため、一時的な使用や特定の工程に特化した利用にも便利です。
ウォークインタイプ
その名の通り人が中に入って作業ができるほどの大型の装置です。大型の実験器具や装置を内部に持ち込んで作業する場合や、背の高い反応装置を扱う場合などに適しています。非常に大きなサンプルや多数の器具を同時に扱う必要がある現場で活躍します。

自社に最適なドラフトチャンバー選び3つのポイント

ここからは、実際に最適な一台を選定するための具体的な3つのポイントをご紹介します。

ポイント1:使用する有害物質の種類と発生量

ドラフトチャンバーを選定する上で、最も重要なのは、「何を」「どれくらい扱うか」を明確にすることです。
例えば、酸性のガスを扱う場合は、内部が耐酸性に優れた材質である必要がありますし、有機溶剤を扱う場合はステンレス製が適しています。粉塵のような粒子状物質なのか、ガスの蒸気なのかによって、必要な排気処理装置(スクラバーやフィルター)の種類も変わってきます。
また、有害物質の「発生量」も重要な要素です。発生量が多い場合は高い排気能力やフィルター交換頻度も考慮する必要があります。発生量が少ない場合は、コンパクトな卓上タイプでも十分対応できるかもしれません。
まずはSDS(安全データシート)を確認し、対象物質の特性を把握しましょう。

ポイント2:設置環境と必要な作業スペース

設置を検討している場所のスペースも確認しましょう。ドラフトチャンバーは排気ダクトを通じて有害物質を屋外へ排出するため、排気ダクトの設置ルートや、屋外への排気口の位置、給排水や電源の確保といった付帯工事についても、導入計画の段階で十分に考慮する必要があります。
加えて、空調の吹き出し口の真下やドアの近くなど、気流が乱れやすい場所に設置すると、吸い込みの気流や装置内部の気流が不安定になり、有害物質が外部に漏れ出すリスクが高まります。このような場所は避け、安定した気流を確保できる場所を選びましょう。

ポイント3:給排水やガス栓などの付加機能

ドラフトチャンバーは、ただ有害物質を排気するだけでなく、作業効率や安全性を高めるためのさまざまな付加機能(ユーティリティ)を装備できます。例えば洗浄作業を行う必要がある場合は、シンク付きの給排水栓があると非常に便利です。
また、ガスバーナーなどを使用する場合は、装置内部にガス栓を設けることで、安全かつ効率的な作業が可能になります。
これらの付加機能は、後から追加することが難しい場合も多いため、導入前に具体的な作業内容をシミュレーションし、どのようなユーティリティが必要になるのかを十分に洗い出すことが重要です。

まとめ:安全な作業環境の構築はドラフトチャンバーの正しい選定と使用から

ドラフトチャンバーは、有害物質を扱う現場で作業者を守るための重要な局所排気装置の一種であるということを解説してきました。
効果を十分に発揮するためには、扱う物質や設置環境などを踏まえた適切な選定が必要です。
さらに、導入後も正しい使用方法と定期メンテナンスを継続することで、安全性と性能を長期的に維持できます。
弊社はドラフトチャンバーをはじめとした局所排気装置のメンテナンスを行っています。
もし貴社に置いてあるドラフトチャンバーについて気になることがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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