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コラム

局所排気装置の届出で確認したいこと|要否判断から提出の流れまで

ドラフトチャンバーなどの局所排気装置を新たに設置・移設・変更する際は、労働基準監督署への届出が必要になる場合があります。
ただし、届出の要否は、局所排気装置の種類や構造、取り扱う化学物質、作業内容などによって異なります。
「設置前に何を確認すればよいのか」「どの書類を準備すればよいのか」と迷う担当者の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、局所排気装置に関する届出について、確認すべきポイントを解説します。

局所排気装置の設置には届出が必要?まず知りたい基本

ドラフトチャンバーなどの局所排気装置は、有害なガスや蒸気などを屋外へ排出し、作業者のばく露を抑えるための設備です。特定化学物質や有機溶剤などを扱う作業では、設置・移設・構造変更に伴って届出が必要になることがあります。

ドラフトチャンバーについてはこちらのコラムで解説しています。
【コラム】ドラフトチャンバーとは?仕組みや選び方を解説!

届出が必要な場合は、原則として工事を始める前に、所轄の労働基準監督署へ提出します。設備の構造や性能、排気方法などが法令上の基準を満たしているかを、計画段階で確認するための手続きです。
設置を検討する際は、まず「扱う物質」「作業内容」「局所排気装置の仕様」を整理し、届出の対象となるかを確認しましょう。

なぜ届出が法律で義務付けられているのか?

届出は、局所排気装置が必要な性能や構造を満たし、作業者が有害物質にばく露するリスクを抑えられる状態かを確認するためのものです。
例えば、十分な制御風速が確保できるか、有害物質を含む排気が適切に処理・排出されるかなどは、作業環境の安全性に関わる重要なポイントです。届出を通じて設計内容を確認することで、設置後の手戻りや安全上の課題を減らしやすくなります。
届出は単なる書類作成ではなく、局所排気装置を適切に導入・運用するための確認プロセスと捉えるとよいでしょう。

【要否判断】局所排気装置の届出要否を判断するポイント

局所排気装置の設置・移設・変更に伴う届出は、労働安全衛生法に基づき事業者が行う手続きです。
届出が必要かどうかは、主に次の点を踏まえて判断します。
・取り扱う化学物質の種類
・作業内容や使用量
・局所排気装置の構造・性能
・設置、移設、構造変更などの工事内容
それではここから、届出のポイントについて詳しくみていきましょう。

原則として届出は事業者の義務

局所排気装置の設置や移設、変更に関する届出の義務を負うのは、その事業場を運営する「事業者」です。大学であれば学校法人、企業であればその会社が法的な届出義務者となります。
届出には書類の作成や技術的な確認が必要になるため、安全管理担当者だけでなく、設備担当者や施工業者と連携しながら進めることが重要です。

有機則・特化則の対象物質を扱う場合

届出が必須となるかどうかは、主に「取り扱う有害物質の種類」によって決まります。
特に、有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則(特化則)の対象物質を扱う場合は、局所排気装置に関する規制が適用され、届出が必要となるケースがあります。代表的な対象物質には、アセトン、トルエン、キシレン、メタノールなどの有機溶剤や、ベンゼン、クロロホルム、塩化ビニル、鉛化合物などです。
まずは、使用している化学物質のSDS(安全データシート)を確認し、有機則・特化則の対象に該当するかを確認しましょう。

有機溶剤についてはこちらの記事でも解説しています。
【コラム】有機溶剤を扱う際に知っておきたい基礎知識と法令対応

届出が不要になる例外的なケース

例外的に届出が不要と判断されるケースも存在します。
例えば、有機則や特化則の規制対象外の物質のみを取り扱う場合、または非有害な一般的な試薬のみを使用するケースです。
ただし、有機則・特化則の対象外であっても、物質の性質や作業内容によっては別の法令・規則への対応が必要になることがあります。また、適用除外の判断には細かな条件があります。
届出の要否は使用する物質や設備の内容によって異なるため、判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署や専門業者へ相談することをおすすめします。

局所排気装置の届出に必要な書類一覧

ここからは、局所排気装置の届出を実際に行う際に必要となる書類について解説します。

機械等設置・移転・変更届(様式第20号)

届出の中心となる「機械等設置・移転・変更届(様式第20号)」は、労働安全衛生法に基づき、機械や設備を設置・移転・変更する際に事業者が労働基準監督署へ提出する書類です。事業場の基本情報や設置する機械の名称、工事の着手予定日・完成予定日などを記載し、工事計画が安全基準に適合しているか審査を受けます。
この様式は、厚生労働省のWEBサイトからダウンロードできるため、最新の書式を常に使用するようにしましょう。

局所排気装置摘要書(様式第25号)

「局所排気装置摘要書(様式第25号)」は、設置する局所排気装置が法令で定められた性能基準を満たしていることを示すための、技術的な仕様をまとめた書類です。この書類には、フードの型式(囲い式や外付け式など)、開口面の寸法、法令で義務付けられている制御風速といった主要な専門項目を記入します。
これらの技術情報は、局所排気装置のメーカーが提供する仕様書や設計図書に記載されています。

図面・計算書など主な添付書類

局所排気装置の届出には、上述の様式第20号と第25号といった主要な書類に加え、計画の正当性や装置の性能を客観的に証明するための図面や計算書の提出が求められます。
これらの添付書類は、労働基準監督署が審査を行う上で非常に重要な役割を果たすため、正確に準備する必要があります。

局所排気装置の設置場所のレイアウト図

添付書類の一つである「設置場所のレイアウト図」は、局所排気装置が研究室や作業場のどこに設置されるか、そしてその周辺の状況を示すために提出が求められます。
装置の設置位置に加え、周辺設備や作業スペース、給気口(窓・ドア・給気設備など)の位置関係を記載します。
適切な換気計画になっているかを確認するための資料です。

排気系統図(ダクトやファンの配置)

「排気系統図」は、局所排気装置のフードから排気ファンを経由し、最終的な排気口に至るまでの空気の流れ(系統)全体を模式的に示した図面です。
ダクトの経路やサイズ、排気ファンの位置、排気口の配置などを記載し、安全に排気できる構成であることを確認します。

局所排気装置の構造図・仕様書

「局所排気装置の構造図・仕様書」は、設置する局所排気装置本体の構造や仕様を示す資料です。
本体の寸法や材質、構造などが分かる図面や仕様書を添付します。メーカーが発行するカタログや仕様書を使用するケースが一般的です。

局所排気装置計算書

作業場に発生する有害物質や溶剤蒸気などを適切に捕集・排気できるか、計算によって確認する書類です。通常は設計・施工業者が作成します。
計算項目は例として、必要排気風量、制御風速や吸い込み風速、圧力損失などがあります。

排気ファンの性能曲線図

「排気ファンの性能曲線図」は、使用する排気ファンが、どのような運転条件でどれくらいの能力を発揮できるかを示すグラフです。
この図は通常、ファンメーカーから提供され、横軸に風量(空気を送る量)、縦軸に静圧(空気を押す力)が示されています。

提出書類一覧表

届出に必要な主な書類を一覧表でまとめました。
提出書類は、設備の仕様や工事内容によって異なりますので、事前に所轄の労働基準監督署へ確認しておくと、準備を進めやすくなります。

届出を提出する流れと注意点

局所排気装置の設置や移設を行う際は、書類を作成するだけでなく、提出時期や工事開始までの流れを事前に確認しておくことが重要です。
ここからは、届出準備から工事開始までの基本的な流れと、手続き上の注意点をご紹介します。

ステップ1:必要書類を準備する

まずは、前セクションで解説した、届出に必要な書類を揃えます。
工事直前に準備を始めるとスケジュールが厳しくなるため、設備計画の段階から必要書類を確認しておきましょう。

ステップ2:所轄の労働基準監督署へ提出

書類が揃ったら、自社の事業場や大学のキャンパスが所在する地域を管轄する労働基準監督署へ提出します。窓口や提出方法は地域によって異なる場合があるため、事前に確認しておくとスムーズです。
また、書類に不備があると、修正や追加資料の提出が必要になることがあります。不明点がある場合は、提出前に労働基準監督署へ相談することも有効です。
この届出が受理されたら、工事を開始します。

注意点1:提出は「工事開始の30日前まで」

局所排気装置の届出手続きで最も注意したいのが提出期限です。
労働安全衛生法では、局所排気装置を設置・移設・変更する工事に着手する30日前までに、所轄の労働基準監督署へ届出を提出することが義務付けられています。
届出後は内容の確認・審査が行われ、書類に不備がある場合は修正や再提出を求められることがあります。そのため、期限直前の提出では工事開始に間に合わなくなるおそれがあります。
実務上は、工事開始の1.5~2か月前を目安に、余裕を持って届出の準備・提出を進めると安心です。

注意点2:移設・変更・廃止の場合も届出が必要

上述のとおり、届出が必要になるのは、新しく局所排気装置を設置する場合だけではありません。
たとえば、次のようなケースでは、届出の要否を確認する必要があります。
・局所排気装置を別の場所へ移設する
・排気ファンを交換する
・ダクト経路を変更する
・排気能力や構造に影響する改造を行う
・局所排気装置を撤去・廃止する
設備の変更内容によって必要な手続きは異なるため、工事を進める前に施工業者や所轄の労働基準監督署へ確認しましょう。

届出を忘れるとどうなる?法令違反のリスク

必要な届出を行わずに設備を設置・変更した場合は、労働安全衛生法に基づく指導や是正の対象となる可能性があります。
また、届出義務違反には罰則が設けられており、状況によっては行政処分や法的責任が問われるケースもあります。
こうした対応は、工事や研究・生産活動のスケジュールにも影響を及ぼす可能性があるため、設備の導入や変更を計画する際は、事前に届出の要否を確認しておくことが大切です。

届出後も重要!設置後の点検・検査義務

局所排気装置の安全管理は、労働基準監督署への届出と設置工事が完了すれば終わりではありません。
安全な状態を維持するため、対象となる設備では定期的な点検・メンテナンスが必要です。

毎月の簡易点検と年1回の定期自主検査

局所排気装置の設置後には、その安全な稼働を確保するために、頻度の異なる2種類の点検が法律で義務付けられています。
まず、有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則(特化則)の対象となる局所排気装置を使用している場合は、「1ヶ月以内ごとに1回」、簡易的な点検を行う必要があります。
次に、より専門的で詳細な検査として「1年以内ごとに1回」実施が義務付けられているのが、「定期自主検査」です。この検査は、単なる目視確認ではなく、局所排気装置が本来の性能を維持しているかを工学的・客観的に確認するための科学的な点検手法です。
この定期自主検査は、専門的な知識と測定機器を要するため、労働安全衛生規則で定められた講習を修了した「定期自主検査者」が行う必要がありますので、専門業者に依頼することが一般的です。

✅ドラフトチャンバーの点検については、こちらのコラムで解説しています。

【コラム】局所排気装置のセルフチェック|計測器なしで出来る日常点検のコツ

検査結果の記録と3年間の保存義務

定期自主検査を行った場合は、検査結果や補修内容を記録し、一定期間保存する必要があります。
検査記録は、作成日から「3年間保存」することが労働安全衛生法で定められています。
この記録は労働基準監督署による立ち入り調査(臨検)が行われた際に、事業者が安全管理を適切に実施していることを示す重要な証拠となります。もし、検査記録が不完全であったり、保存されていなかったりすると、法令違反とみなされ、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。

専門業者への相談も検討しましょう

届出には、図面作成、圧力損失計算、排気ファンの選定、性能確認など、専門的な判断が必要な場面があります。
「届出が必要か判断できない」「必要書類を揃えられるか不安」「設置後の点検までまとめて任せたい」といった場合は、局所排気装置に詳しい専門業者へ相談することがおすすめです。
設備の設計・施工段階から専門家と連携することで、届出の手戻りを防ぎ、安全性と法令対応を両立しやすくなります。

まとめ

本記事では、局所排気装置の届出について解説しました。
局所排気装置は、取り扱う有害物質の種類によって、労働基準監督署への届出が労働安全衛生法により法的に義務付けられており、この届出には専門的な書類作成と、工事開始の30日前までの提出という期限の遵守が不可欠です。
一連の対応は、職場の安全を確保し、ひいては組織全体の信頼を維持するためにも大切です。自社のリソースだけでは対応が難しいと感じた際には、迷わず専門業者に相談してみましょう。
ダルトンメンテナンスでは、局所排気装置やドラフトチャンバーの点検・メンテナンスを承っております。設備の状態確認や定期自主検査、維持管理に関するご相談もお気軽にお問い合わせください。

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